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字幕翻訳とナレーション台本翻訳 | それぞれの違い・ポイント

字幕翻訳・テロップ翻訳・ナレーション台本翻訳について

Youtubeをはじめとした動画コンテンツが人気の昨今、その人気に伴い字幕翻訳・テロップ翻訳・ナレーション台本翻訳の需要が高まっています。

字幕とテロップは会社や個人によって解釈や呼び名が異なることもありますが、一般的には以下のように定義されています。

・字幕:動画内の発言およびナレーションをそのままテキスト化し、動画下部や横に表示されるものを指します。字幕の他にも、スーパー、キャプションと呼ばれることもあります。

・テロップ:上記の字幕以外の、タイトルや見出し等に使用するテキストのことを指します。動画内テキスト、グラフィックテキストと呼ばれることもあります。

字幕翻訳・テロップ翻訳・ナレーション台本翻訳は、それぞれ用途が異なる分、翻訳の方針や作業方法も大きく異なります。

今回は、「日本語版の動画を、英語字幕や英語テロップ、英語ナレーションに差し替えて、海外発信向けの動画を制作する」場合に、それぞれ翻訳方針の違い、および気をつけるべきポイントについて、動画制作の観点も含めて解説していきます。

1. 動画に字幕翻訳のみを挿入する場合

完成動画の仕様:元動画の発言・音声は日本語のまま、もしくは、日本語音声はオフしてBGMのみを残して、字幕翻訳を表示させます。

字幕の仕様:さまざまなデザインがありますが、一般的に採用されているのは「背景なし、白抜き文字」のデザインです。ただ、動画全体の色合いやレイアウトのバランスを考慮し、白抜き文字だと見辛い場合には、黒色背景を重ねて、より見やすいデザインに調整します。

白抜き文字の字幕デザイン。
白抜き文字+黒色背景のデザイン。黒色背景は透過させるのがおすすめ。

字幕翻訳の仕様:動画のナレーション台本から翻訳を行いますが、後述する台本翻訳や、一般的な文書翻訳と比較して以下のような点に注意が必要です。

・端的な表現

英語ナレーション、外国語ナレーションは入れずに字幕だけを表示させる場合、動画の視聴者は、視覚情報のみで内容を理解しなければいけません。
文字数が多く、情報量が詰め込まれすぎていると、視聴者の理解はその動画に追いつくことができないため、「端的で、分かりやすい表現」が非常に重要となります。
端的という言葉を聞くと、一部の情報を省略しなければいけないと勘違いされることもありますが、そうではありません。


もちろん、前後の文脈や動画のコンセプトを考慮し、意図的に字幕では表現を省略することもありますが、端的な表現とは、原文の意図をしっかり汲んで、内容を凝縮しながらも分かりやすい表現に置き換えることです。


そのためには原文を読み込んで、原文を表面的に読むだけではわからない事実関係や、単語の位置関係、専門的な背景を調べ、原文の内容を適切に理解することが求められます。
その動画の主体となるもの(企業VPであれば該当企業、製品プロモーションであれば該当製品)の情報をリサーチすることも、より自然な仕上がりの字幕翻訳には欠かせません。

・文字数の調整

文字数の規定があるのも、字幕翻訳の大きな特徴の一つです。
一般的には英語字幕は1秒あたり10-14アルファベットが目安とされています。
また、1シーン(約4秒)あたりの英語字幕は最大2行での表示が一般的です。


ただ、この規定は映画やドラマといった長尺の映像作品によく適用されているもので、企業VP、製品のプロモーションビデオ、ドキュメンタリー、トレーニング動画といったいわゆる産業動画のコンテンツでは、文字数ルールは実際のところ厳密には重視されておらず、エンドクライアントや動画制作会社の要望に沿って翻訳を行っているのが実情です。


一番重要なのは、視聴者が字幕の内容を動画のタイミングにあわせて自然に理解できる状態であることなので、クライアントの理解が得られた上で、上述のアルファベット数を超えることもあります。
ただ、行数については、3行を超えてしまうと動画のスペースの大多数を文字情報が占めてしまい、視覚的に非常に見づらくなってしまうことから、1シーンあたり2行までというルールは守られていることがほとんどです。

・動画のターゲット層・用途を考慮

これは後述するナレーション台本翻訳、および一般的な文書翻訳にも通ずるところですが、動画の視聴者を想像しながら翻訳することも重要なポイントです。


例えば、専門的な用語が出てくる場合。この動画が、その専門分野の人に向けたものであるならば、妥当な英語の専門用語を使用する必要がありますが、動画の視聴者を限定せず、一般に公開することを目的としている場合、その専門用語の知識のない視聴者もきちんと理解できるように、表現を選定する必要があります。


文書の場合、読んでいる間に不明点があれば一度立ち止まって意味を咀嚼することが出来ますが、動画ではそれがなかなか出来ません。そのためにも、動画の視聴者や用途を明確にした上で、ターゲット層にきちんと届く言葉選びが求められます。

2. 動画にテロップ翻訳を挿入する場合

完成動画の仕様:元の動画の発言・音声は日本語のまま、もしくは、日本語音声はオフしてBGMのみを残して、テロップ翻訳を表示させます。
クライアントによって変動はありますが、元動画のナレーションを、英語ナレーションとして挿入するか、英語字幕として挿入するか、どちらかを選ぶ方は多いですが、テロップ翻訳はどちらであっても表示させる制作会社が多いように感じます。

テロップの仕様:動画の白素材から、日本語版と同じデザインでテロップ翻訳を挿入するのが一般的ですが、稀に白素材の支給が叶わない場合があります。
そういった場合は、すでに日本語テロップが入っている状態の動画から制作を行わなければいけないため、挿入済みの日本語テロップの上にテキストボックスを重ねる、もしくは、日本語と英語を併記させるといった工夫が必要になります。

テロップ翻訳の方法:元の日本語テロップから翻訳を行いますが、以下の点に注意が必要です。

・簡潔さ

字幕翻訳と同様、端的で分かりやすい表現が求められます。
特に英語翻訳の場合は、日本語より文字数が増えてしまうことも多いので、実際にテロップ翻訳が表示される際のレイアウトを意識しながら翻訳を行うことが重要です。

・ローカライズ

テロップは主にタイトル、見出し等のテキストとして表示されることが一般的ですが、翻訳先言語の国の習慣にあわせてローカライズさせることも欠かせません。
例えば英語の場合は、日本語と語順が逆になることも多く、翻訳のネイティブチェックの段階で、スタイルに違和感がないかどうかのチェックも必要となります。

日本語では社名→役職→名前の順番が一般的ですが…
英語では名前→役職→社名の順番が一般的。

3. 動画に英語ナレーションを挿入する場合

完成動画の仕様:日本語ナレーションをオフにし、英語ナレーションをミキシングさせます。また、ナレーション台本の翻訳をそのまま字幕として表示させる場合もあります。こうすることで、視覚と聴覚両方から情報を取り入れることが出来るため、ユーザーフレンドリー性の高い動画に仕上がります。

ナレーション台本翻訳の方法:日本語のナレーション台本を元に翻訳を行います。字幕・テロップ翻訳とは異なる以下の特徴があり、文書翻訳よりも技術が求められます。

・聞いてわかりやすい言葉

字幕がなく、英語ナレーションのみが挿入されている動画の場合、聴覚ですべての情報を取り入れる必要があります。
そのため、一文を長すぎないようにする、同音異義語は出来る限り避ける等、聞いてわかりやすい言葉選びが重要になります。英語を書く、見るだけではそのあたりの感覚がなかなか掴みづらいため、実際に読み上げてみながら作業を行うことも推奨されています。

・尺調整

各シーンの尺に収まる文字量の調整が、ナレーション台本翻訳の要です。
特に英語翻訳の場合は、日本語よりも文字数が増えてしまうことが多いため、尺を確認しないまま翻訳をしてしまうと、実際の英語ナレーションを収録する段階で、シーンの指定尺からナレーションが溢れてしまうことがほとんどです。


このような状況を回避するために、最初に「ハコ書き」というシーン毎にナレーションの台詞を区切る作業と、「スポッティング」という各シーンの起点と終点をチェックする作業が欠かせません。


字幕翻訳の際にはこのハコ書き、スポッティングが必要であるとはよく知られていることですが、ナレーション台本翻訳でも同様に必要な作業となります。
そしてこのハコ書きとスポッティングが完了次第、ナレーション翻訳作業に本格的に着手することになります。


また、翻訳完了後には、実際の動画を流しながら仮読みを行って、必要に応じて修正を繰り返しながら、映像尺とナレーション表現の整合性を高めます。

・日本語にとらわれすぎない意訳

特に企業VPやプロモーションビデオといったPR系の媒体は、ナレーションでは訴求力のある表現が求められます。翻訳では、クライアントの意向が反映されている日本語原文に忠実であることももちろん重要ですが、日本語に忠実すぎると翻訳では少々ぎこちない表現になることが多く、飛躍的な意訳も必要とされます。


意訳も散りばめることで、ナレーターが収録時に読み上げやすく、感情も込めやすい、訴求力の高い表現の詰まった英語ナレーション台本に仕上がります。

各々の違いを意識して翻訳することが重要

字幕翻訳・テロップ翻訳・ナレーション台本翻訳の違いと具体的な翻訳ポイントについて解説しましたが、それぞれの違いと注意点をしっかり理解して翻訳を行うことが非常に重要です。
これらのポイントをクリアして初めて、翻訳先言語のネイティブの方々により内容が伝わる動画制作が叶うことでしょう。