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翻訳という仕事をしていると、1日中座りっぱなしで、運動というものをほとんどしない生活になってしまいます。 これではまずい。ということで、できるだけ毎日30分程度は何らかの運動を心掛けています。 筋トレ的なことも取り入れたいと思います。簡単にできる筋トレとして、まず思いつくのは、腕立て伏せや腹筋かと思いますが、今回は、より効果的な腕立て伏せの方法について考察してみます。 腕立て伏せの負荷を変える方法として考えられるのは、 ・足を台にのせて高くする(あるいは逆に手の下に台を置く) ・手をつく幅を変える(広くしたり、狭くしたり) ・つま先ではなくて膝で支える(負荷を軽くする) ・プッシュアップバーを使う(深く体を下ろすことで、大胸筋を伸ばして、負荷を大きくしようとするもののようです) ・おもりやばねを使う(重いベストみたいなものとか、バネあるいはゴムの付いた器具が市販されています) その他いろいろなバリエーションがあるようです。(「プッシュアップ バリエーション」などで検索) 今回、足を台に載せる場合の負荷の大きさについて、考えてみました(注:あくまで考察であって、正解を出そうというものではありません)。この場合、体に対する腕の向きを変えることによって負荷がかかる筋肉の部位が変わるという効果もあるようですが、今回は負荷の大きさのみに注目しました。 前提条件として、 ・体を一番下に下げた状態で、地面に対し垂直方向に力をかける ・体は剛体と考える(頭部は水平に前を向くものとします) ・静的な荷重として考える ・単純に上方へ力を加えるものと考える ・肩の中心の高さ=踵の中心の高さ・つま先は固定 とします。 通常の足を台に載せない状態を、下図のように単純化しました。 ここで、 F:腕により持ち上げる力 Wh:首から上の重量 Wb:首から下の重量 Lh:頭部の重心から手の支点までの距離 La:手の支点からつま先までの距離 Lb:首より下の重心からつま先までの距離 とします。 この場合のつま先(厳密には少しずれそう)を支点とした力のモーメントのつり合いを考えると、 Wb ∙ Lb + Wh ∙ (Lh + La) = F ∙ La 従って、 F = {Wb ∙ Lb + Wh ∙ (Lh + La)} / La となります。 さらに、足を台の上に載せた場合は、 H:台の高さ θ:体の傾斜角度 として Wb ∙ Lb∙cosθ + Wh ∙ (Lh + La∙cosθ) = F ∙ La∙cosθ 従って、 F = {Wb ∙ Lb∙cosθ + Wh ∙ (Lh + La∙cosθ)} / La∙cosθ …(1) ここで、 La² = H² + (La∙cosθ)² ∴ cosθ = {√(La² − H²)} / La 式(1)に、実際に数値を入れて計算してみます。 身長:約170 cm、体重:約60 kg で、各数値をだいたい La = 140 cm Lb = 100 cm Lh = 20 cm Wh = 5 kg Wb = 55 kg として、Hをいろいろ変えてみます。 cosθ と F の計算式は、それぞれC6とD6のセルで 「=((B$3^2-B6^2)^0.5)/B$3」 「=(F$3C$3C6+E$3(D$3+B$3C6))/(B$3*C6)」 としました(以下コピー&ペースト)。 この結果によると、今回の条件では、足を台に載せても負荷はあまり変わらないということになります。(ただし、検算はしていないので、計算が間違っているかもしれません。また、そもそもこんな計算でいいのかどうかという疑問はあります。) 実際の感覚としては、足を台に載せて少しくらい高くしても、腕への負荷はあまり変わらない気もする(よくわからない)ので、そんなものかなという気もします。 次に、腕の力を入れる方向を、体の中心線に対して直角になるようにする場合について、ついでに考えてみます。 この場合モーメントのつり合いは、 Wb ∙ Lb∙cosθ + Wh ∙ (Lh + La∙cosθ) = F ∙ La 従って、 F = {Wb ∙ Lb∙cosθ + Wh ∙ (Lh + La∙cosθ)} / La …(2) ここで、上と同様に cosθ = {√(La² − H²)} / La 上と同様に、実際に数値を入れて計算してみると、 ここで、cosθ と F の計算式は、それぞれC6とD6のセルで 「=((B$3^2-B6^2)^0.5)/B$3」 「=(F$3C$3C6+E$3(D$3+B$3C6))/(B$3)」 となります(以下コピー&ペースト)。 この結果では、足を台に載せて高くするほど、腕への負荷は小さくなっています。(ただし、上と同様に、検算はしていないので、計算が間違っているかもしれません。また、そもそもこんな計算でいいのかどうかという疑問はあります。) 実際の感覚としては、子供のころ、腕立て伏せというものが1回もできなかったのに足を台に載せたら出来たという経験もあり、その点では、この結果と一致します。 今回の考察の結果をまとめると、腕立て伏せをする場合は、 ・地面に対して腕が垂直になるように力を入れた場合、足の高さは、それほど関係はない。 ・体のラインに対して腕が直角になるように力を入れる場合は、足を高くすると負荷が小さくなる。 ということになりました。