ARTICLES 動画コンテンツにおけるローカライズの重要性―1.翻訳とローカライズの違い

YouTube広告をはじめとした動画コンテンツの普及により、Web上やSNSで伝えたいメッセージをより手軽に、わかりやすく伝えられるようになりました。
しかし、伝えたいメッセ―ジを確実に伝えるためには、様々な工夫が必要です。
特に、海外市場で印象的な広告を打ち出したいと考えている場合は、その傾向が顕著です。

しかしながら、例えば、日本のとある企業がアメリカへYouTube広告を出稿するために、現在日本で配信している動画広告の海外版を作成しようとなった場合。
一般的なフローでは、動画の内容を翻訳して、その翻訳した台本を基に英語ナレーションを収録して・・・
という流れとなりますが、実はその工程では不十分です。

そこには、「ローカライズ」の作業が非常に重要となってきます。

「翻訳」と「ローカライズ」は一見似ているため、混同されやすいのですが、同じではありません。
今回の投稿より連載方式で、ローカライズの重要性について考察していきます。
第一回目の今回は、翻訳とローカライズの違いについて説明します。

翻訳の定義

翻訳とは、ある言語で作成されたコンテンツの意味や内容を、できるだけ損なうことなく、他の言語に置き換えて表現することです。
多くの場面において、直訳(原文に一字一句忠実に訳すこと)よりも、
意訳(原文の一語一語にこだわらず、全体の意味に重点をおいて訳すこと)が好まれる傾向はあるものの、
基本的には原文を正しく理解して訳す作業となり、契約書や証明書、企業パンフレットといった事実関係を正しく伝える必要がある媒体と最も親和性が高いと思われます。

しかし、基本的には、翻訳にはカスタマイズ性がありません。
ただ翻訳するだけでは、オーディエンスのタイプやニーズの違いを考慮したメッセージにはならないのです。
特に動画コンテンツにおける台本を他の言語に置き換える場合、表現の正しさだけでなく、ターゲットとなるオーディエンスに合致する表現も求められます。

そういった意味では、メッセージ性の高い動画コンテンツの多言語化は、翻訳ではカバーしきれない側面が多いことがわかります。

ローカライズの定義

ローカライズとは、言葉、方言、文化的・社会的慣習をすべて考慮し、ターゲット国現地のオーディエンスや市場のニーズと合致させ、
現地でも受け入れられるように最適化することです。
「ローカライズ」他にも、「地域化」、「ローカライゼーション」、「ローカリゼーション」とも言われます。
翻訳が基本的に言葉のみを扱うのに対して、文脈やその他のエレメントを考慮しなければいけないことから、
より複雑な作業となります。

上記の定義を考慮すると、オーディエンスの行動喚起を促したい広告関連の多言語化には、
画一的な翻訳ではなく、ローカライズの方が適していることがわかります。

次回以降、動画コンテンツという分野に落とし込んで、もう少し詳しくローカライズの重要性について考察していきます。