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GO FOR KOGEI2025におけるインバウンドツアー造成・集客設計・英語ガイド対応

  • クライアント
認定NPO法人趣都金澤
  • 提供サービス
ツアー造成・集客設計・英語ガイド対応

Overview

GO FOR KOGEIは、ものづくりが古くから受け継がれる北陸から、新たな工芸の見方を発信するイベントです。2025年は「工芸的なるもの」をテーマに、現代アーティストや工芸作家、職人たちが素材や技法と向き合い、暮らしの中で生まれる美を提示しました。展示は、富山県富山市の岩瀬エリア、石川県金沢市の東山エリアを中心に展開。歴史的な街並みが残る地域を舞台に、作品と土地の関係性を体感できる構成となっています。

当社は、主催者である株式会社ノエチカ様からのご依頼を受け、インバウンド向けツアーの企画・設計から、集客導線の構築、現場オペレーションまでを一貫して対応しました。

Work Details

ガイディングスクリプトと
ストーリー構築

本プロジェクトでは、まず会場下見を行い、岩瀬地区およびひがし茶屋街という歴史的背景を持つ地域を舞台に、約10スポットの作品を対象としたガイディングを設計しました。

本ツアーで目指したのは、単なる作品案内ではなく、「文化的文脈まで理解できる体験」の提供です。本展の作品は、大変ユニークで魅力的な素晴らしいものばかりで、視覚的に鑑賞するだけでも成立するコンテンツである一方、その背景には、アーティスト一人ひとりの思想や哲学、そしてものづくりに対する強い想いが息づいています。私たちは、そうした想いを補足情報としてではなく、ガイディングの中核として捉え、丁寧に言語化し、「なぜこのような作品表現に至ったのか」を一つのストーリーとして編み上げる必要があると考えました。

特に欧米圏の旅行者は、珍しさだけでなく、なぜそれが存在するのか?どのような意味を持つのか?といった背景理解を重視する傾向があります。

この前提に立ち、本ツアーでは、アーティストの表現を、そのプロフィールや土地の歴史・文化と結びつけながら、「どのような文脈の中でこの作品が存在しているのか」をストーリーとして語れるよう整理しました。あわせて、ガイド間で品質を担保するため、誰でも同じ文脈で説明できるスクリプトとして言語化しました。

その結果、単発的な情報提供にとどまらない、「理解→納得→共感」という一連の体験が生まれ、参加者にとっての体験価値の明確化につながったと感じています。

プロモーション:Web・リアル接点・自社アセットの統合

本プロジェクトにおいては、集客設計も同様に重要なテーマでした。
訪日旅行者は、事前に情報収集を行う一方で、現地滞在中の偶発的な接触をきっかけに意思決定するケースも多く見られます。そのため、オンラインとオフラインを分断しない設計が有効です。
本案件では、以下の3つの接点を統合しました。

① 専用Webページの制作+旅行エージェントへの営業
② 当社宿泊施設に滞在する外国人旅行者への直接アプローチ
③ 体験拠点「unveil」におけるポスター掲出による現地接点の創出

① 専用Webページの制作

当社のインバウンド向け情報サイト「Unveil Japan」にて専用ページを制作し、ツアーの魅力や背景を分かりやすく整理すると同時に、個人からの問い合わせに対して予約までつながる導線を設計しました。

また、海外旅行エージェントとの商談時においても営業ツールとして活用し、短時間で内容を把握し、提案につなげやすい情報設計としました。

② 当社宿泊施設に滞在する外国人旅行者への直接アプローチ

当社では金沢市内に21の宿泊施設を運営しており(2026年時点)、宿泊者の約9割が外国人旅行者、月間約1,000名の訪日客との接点を有しています。中には「金沢の工芸」をテーマとした施設もあり、工芸やアートに高い関心を持つ顧客層が一定数存在する点も特徴です。

こうした自社施設を保有していることは、本プロジェクトにおける大きな強みとなりました。当社宿泊施設のゲストという「すでに日本に滞在しており、文化体験への関心が高い層」に対して、確実にアプローチできるためです。

具体的には、宿泊予約時のコンファームメールやチェックイン時といった確実な接点を活用し、ダイレクトなプロモーションを実施しました。これは、すでに存在している顧客に最適なタイミングで届けることができるため、高い確度での集客につながりました。

③ 体験拠点「unveil」におけるポスター掲出による現地接点の創出

ひがし茶屋街会場近くに位置する当社体験拠点「unveil」において、イベント期間中の毎週木曜日はガイドが常駐する体制を取り、ツアー集客用ポスターを掲出しました。本施設の前は人通りが多く、ポスターへの視認性が高い点に加え、会場から近接しているため、興味を持った訪日旅行者がその場で参加を検討し、即時にツアーへ参加できる導線を構築できるという利点があります。

ポスターの訴求においては、「GO FOR KOGEI」というイベント名称を前面に出すのではなく、「ひがし茶屋街で楽しむ期間限定のHidden Artウォーキングツアー」という形で内容を再編集しました。訪日旅行者にとっては、イベント名だけでは価値が直感的に伝わりにくい場合があるため、体験内容そのものが一目で理解できる表現へとチューニングしています。このように、「何のイベントか分からない」状態を回避し、「自分にとって魅力的な体験かどうか」をその場で判断できる情報発信を意識しました。

以上の取り組みにより、GO FOR KOGEI 2025の開催期間である約1ヵ月の間に30名以上の海外旅行者のツアー集客・実施を実現しました。

英語ガイド対応

当日のガイド対応においては、体験価値の再現性と品質の担保を重視しました。
ガイディングは基本的に当社のインハウスガイドが3名体制で担当し、事前に設計したスクリプトを基盤とすることで、どのガイドが担当しても一定水準以上の説明ができる体制を構築しました。
また、参加者の関心や理解度に応じて説明の深度を柔軟に調整することで、一方的な情報提供にとどまらない、対話的な体験を実現しています。

その結果、参加者は作品の美しさだけでなく、その背景にある文化や精神性、土地との関係性に対して高い関心を示し、「来年も日本に来たら是非参加したい」というお声の多い、満足度の高いツアーとなりました。

Summary

インバウンド向けのツアー造成においては、優れたコンテンツを用意するだけでは十分ではありません。そこに込められた意味や価値を理解できる形に翻訳し、オペレーションまで含めて実装可能な形で設計すること、さらにそれらの情報を適切なタイミングと導線で届ける設計が不可欠です。

本事例では、作品・土地・制作者の想いを一貫したストーリーとして構築するとともに、Web・リアル接点・自社アセットを統合したプロモーション導線設計を行うことで、集客と参加者満足度の両立を実現しました。