COLUMN

英語の新語(イギリス編)

2022/11/29  2023/01/31           

日本では先日、2022年の「ユーキャン 新語・流行語大賞」のノミネート語30が発表されました。このなかでは、村神様、メタバースといったあたりは、非常に多く見聞きしたなと思います。個人的には、「顔パンツ」という言葉に強烈なインパクトを覚えました。


さて、英語にも毎年、時勢を反映したさまざまな新語が誕生します。今回はイギリスでの、そのいくつかを紹介していきたいと思います。

permacrisis
permanently (永久に、恒久的に)の意味を持つ “perma”と、crisis(危機)を合わせた言葉になります。Collins(オンライン辞書)ではこの言葉を”長期に渡る不安定かつ不安な状況”と定義しています。ウクライナでの戦争、その影響による世界的なインフレ、いまだ収束しないコロナパンデミック… ほんとうに、いまの世界の非常事態さを表している言葉だと思います。

warm banks
ウクライナでの戦争の影響により、イギリスでは燃料費用が倍以上に高騰し、自宅で暖房をつけられない人々が急増しました。自宅で暖房をつけられないため、暖房が効いている無料の公営バスに、一日中ずっと、行く宛もなく乗っている年金生活者の存在が、社会問題として取り上げられました。英政府はこういった人々の避難所として、warm banks という、誰もが暖房にあたることができる施設を設けました。

sportswash (sports+wash)
たとえば、政府がメディアに大きなスポーツイベントを大々的に報道させることで、政府にとってあまり触れられたくない事象を、国民の話題から逸らすような行為を意味します。カタールでは FIFA World Cup の報道を過熱させ、カタール政府が移民の避難所や人権についての問題を棚上げにしようとしていると言われています。
もう1つ、washという単語を使った言葉で、greenwash (green+wash) というものがあります。こちらは、企業が環境保護を考慮するフリをしながら自社の利益を優先するといった意味になります。どちらも whitewash(白色に塗装する/うわべを飾る)という単語をベースにしています。

sploot
堅い表現が続きましたので、最後にやわらかいものを紹介させてください。これは今年の新語ではありませんが、犬猫ファン(特にコーギー)はぜひ覚えておきたい表現になります。腹ばいになって、四肢を弛緩させ伸ばしている状態を指します。 人間では、匍匐前進に備えたポーズといえるでしょうか。

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